半流動性ファンドとNAV償還

プライベートクレジット、不動産、プライベート・エクイティなどは、上場株式のように日々売買できるとは限らない。

こうした非流動資産へ投資しながら、月次や四半期ごとに一定の購入・償還機会を設けた商品が、**半流動性ファンド(semi-liquid fund)**である。

ただし、半流動性ファンドは、いつでも自由に換金できる商品ではない。投資家が利用できる流動性は、あらかじめ定められた頻度や上限などの条件に従う。

半流動性ファンドの基本構造

半流動性ファンドは、プライベートクレジット、不動産、プライベート・エクイティなど、すぐには売却しにくい資産を主な投資対象とする。

従来型のクローズドエンド・ファンドでは、投資家は通常、運用期間中に自由な償還を請求できず、投資先の売却やファンドの満期を待って資金を回収する。

一方、通常の公募投資信託は、比較的売却しやすい資産を保有し、原則として日々の購入・解約に対応する。

半流動性ファンドは、その中間的な設計である。非流動資産へ投資しながら、投資家には月次や四半期ごとなど、限定的な換金機会を設けている。

NAV償還とは何か

半流動性ファンドでは、投資家が持分を市場で第三者へ売却するのではなく、ファンドへ償還を申し込む。

償還価格の基準となるのが、**NAV(Net Asset Value、純資産価値)**である。NAVは、ファンドが保有する資産の評価額から負債などを差し引いて算定される。

非流動資産は市場価格を日々観察できないため、借り手の業績、金利、市場環境、類似取引などを基に評価する必要がある。評価が実態より高い場合には、そのNAVで先に償還した投資家が相対的に有利になり、ファンドに残る投資家へ負担が移る可能性がある。。

この問題については、関連記事「プライベートクレジットに投資する米国上場ビークルで、評価が問題になり始めている理由」で詳しく扱っている。

なぜ償還ゲートがあるのか

半流動性ファンドが保有する資産は、投資家から償還請求を受けても、すぐに売却できるとは限らない。

一方、投資家の償還請求は、同じ時期に集中する可能性がある。すべての請求へ直ちに応じようとすると、ファンドは現金を確保するために、保有資産を不利な条件で売却しなければならないことがある。

そのため、半流動性ファンドには、一回の償還受付額をファンド純資産の一定割合までに制限する仕組みが設けられている。申込みが上限を超えた場合には、各投資家の償還額を比例配分で減らしたり、受け付けられなかった部分を次回以降へ繰り延べたりする。

こうした償還ゲートの目的は、資産の投げ売りを避け、償還する投資家とファンドに残る投資家との公平性を保つことにある

上場BDCとの違い

半流動性ファンドと混同しやすい商品に、BDC(Business Development Company)がある。

上場BDCの投資家は、原則としてBDCへNAVで持分を償還してもらうのではなく、証券取引所でBDC株式を他の投資家へ売却する。市場価格は需給によって決まるため、BDCが公表する一株当たりNAVを上回ることも、下回ることもある。

これに対して半流動性ファンドでは、投資家は一定の条件の下でファンドへ償還を申し込み、算定されたNAVを基準に資金を受け取る。

確認すべき点

半流動性ファンドの流動性を確認する際には、月次・四半期などの償還頻度、一回の受付上限、上限を超えた場合の比例配分や繰延べ、NAVの算定方法を確認する必要がある。商品によっては、市場環境に応じて償還の一時停止や現物分配が認められている場合もある。

半流動性ファンドは、いつでも換金できる商品ではない。定期的に償還を申し込めることと、希望する時点で保有額の全額を換金できることは異なる。

(編集部より)

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