―米国では、IPOを待たずに従業員も富を手にできるのか?
SpaceXのIPOでは、現職・元社員のうち4,400人超がミリオネアになる可能性があると報じられていた。さらに、そのうち約400人は1億ドル以上の資産を得た可能性もある。
IPOによって従業員が保有していた株式の価値が顕在化し、大金を手にする。これは、スタートアップで働く従業員にとって、一つの夢とも言えるかもしれない。会社が長く成長し、上場し、それまで従業員に付与されていた株式やストックオプションが大きな価値を持つ。GoogleやFacebookの初期社員が上場によって富を得た話も、スタートアップで働くことの大きな見返りとして語られてきた。
しかし、OpenAIの記事を読むと、上場前でも従業員が保有株式を売却できたようだ。 OpenAIでは、上場前の2025年10月に、600人超の現職・元社員が株式を売却し、合計66億ドルを手にしたと報じられている。さらに、そのうち約75人は、1人あたり上限いっぱいの3,000万ドルを売却したという。 IPOで従業員が富を得るのではない。IPO前の段階で、従業員がすでに巨額の株式価値を現金化している。
スタートアップの株式報酬は、上場するまで現金化できないものではなかったのか。 今回の記事では、OpenAI、Anthropic、SpaceXをめぐる記事を手がかりに、米国の巨大未上場企業で、従業員がIPOを待たずに富を手にするという現象について考えてみたい。
記事の紹介――OpenAI社員は、どのように66億ドルを現金化したのか
今回主に参照するのは、以下の三つの記事である。 一つ目は、WSJの “How a Job at OpenAI Became the Greatest Lottery Ticket of the AI Boom” である。OpenAIの現職・元従業員が、IPO前に保有株式を売却し、巨額の資金を手にしたことを報じている。あわせて、一部の従業員が残りの株式をDonor-Advised Fund、いわゆるDAFに入れたことも紹介している。 二つ目は、PitchBookの “Employees at mega-IPO candidates are opting out of tender offers in a ‘champagne problem’” である。OpenAIやAnthropicのような巨大IPO候補企業で、従業員向けテンダーオファーがどのように広がっているかを扱っている。 三つ目は、WSJの “OpenAI Is Paying Employees More Than Any Major Tech Startup in History” である。OpenAIの株式報酬が、過去の主要テック企業と比べても非常に大きいことを報じている。
まず目を引くのは、OpenAIの株式報酬の大きさである。 WSJの記事によれば、OpenAIの株式報酬は従業員1人あたり平均約150万ドルに達している。これは、過去の主要テック企業のIPO前報酬と比べても突出した水準とされる。また、OpenAIの株式報酬は、2025年の売上高の46%に達する見込みとも報じられている。 同記事は、Metaなどとの人材獲得競争が激しくなる中で、OpenAIが研究者やエンジニアを引き留めるために、過去のテック企業を大きく上回る株式報酬を提供していると紹介している。
次に、OpenAI社員によるIPO前の株式売却である。 WSJのOpenAI社員の記事によれば、OpenAIでは2025年10月に、600人超の現職・元従業員が保有株式を売却し、合計66億ドルを手にした。さらに、そのうち約75人は、1人あたりの売却上限である3,000万ドルまで売却したという。
同じ記事で目を引くのが、DAFへの言及である。 WSJは、一部のOpenAI社員が、残りの株式をDonor-Advised Fund、いわゆるDAFに入れたことも紹介している。DAFは、寄付者が資産をいったん慈善目的の口座に移し、最終的な寄付先を後から決めることができる仕組みである。 OpenAI社員の記事は、単に従業員が株式を売却して現金を得たという話だけではない。売却された株式がある一方で、残りの株式の一部がDAFに移されていることも紹介されている。
そして、OpenAIやAnthropicのテンダーオファーである。 PitchBookの記事によれば、米国では上位のVC支援スタートアップが10年以上非公開のまま成長することが一般化し、従業員に流動性を与える手段として、テンダーオファーが重要になっている。同記事は、OpenAIのテンダーオファーについて、当初60億ドル規模だった買い手需要が103億ドルまで拡大した一方、実際の売却額は66億ドルにとどまったと報じている。 Anthropicについても、投資家が約60億ドル分の株式を買いたいと考えていた一方で、従業員側の売却額はその需要を満たし切らなかったとされる。 記事では、こうした状況について、IPOが近づいていると従業員が感じるほど、テンダーオファーで売却するインセンティブは小さくなる、という市場関係者の見方も紹介されている。
IPO前の現金化 ―テンダーオファーは誰にとって都合がよいのか
OpenAI社員がIPO前に66億ドルを現金化できたのは、AIブームで評価額が上がったからだけではない。 今回の中心にあるのは、テンダーオファーである。 前章で見たように、米国では有力スタートアップが長く未上場のまま成長し、従業員に流動性を与える手段としてテンダーオファーが使われている。 会社が未上場のまま評価額を上げ続けると、従業員が受け取った株式報酬の価値も大きくなる。OpenAIやAnthropicのような企業であれば、その価値は数百万ドル、場合によっては数千万ドル規模になり得る。 しかし、未上場株は上場株のように自由に売買できるわけではない。 従業員は大きな資産を持っているように見えても、それをすぐに現金化できるとは限らない。ここに、「紙の富」という問題が生まれる。
A テンダーオファーは、企業・投資家・従業員にとって都合のよい仕組み
テンダーオファーは、この「紙の富」に管理された出口を作る仕組みである。一般的な仕組みは知識ボックス①で整理しているため、ここではOpenAIやAnthropicのケースに絞りたい。
テンダーオファーは、企業・投資家・現金化を必要とする従業員にとって、それぞれ意味を持つ。 従業員にとっては、IPOを待たずに株式報酬の一部を現金化できる。住宅購入、税金、資産分散、退職後の生活設計などを考えれば、一部を売却したいという需要は自然に出てくる。OpenAIの記事で、600人超の現職・元社員が合計66億ドルを売却したという数字は、こうしたIPO前の流動性の大きさを示している。
投資家にとっては、OpenAIやAnthropicのような巨大IPO候補の株式を、上場前に取得できる数少ない機会になる。将来のIPOや企業価値の上昇を見込む投資家にとって、テンダーオファーは魅力的な入口になる。
会社にとっては、従業員に流動性を与えながら、株主構成を管理できる。未上場企業では、誰が株主になるかは、資本政策、情報管理、ガバナンス、将来のIPOに向けた株主構成に関わる。したがって、テンダーオファーは単なる福利厚生ではなく、会社が株式の移転を管理しながら流動性を提供する仕組みでもある。
OpenAI社員がIPO前に66億ドルを現金化できた背景には、未上場株を買いたい投資家がいて、会社が売却機会を設け、従業員が大きな株式報酬を持っていたという三つの条件が重なっている。
なお、SpaceXでもIPO前に従業員が株式を売却する機会はあったと報じられている。NYT記事では、早く売りすぎたことを後悔する元従業員の話も紹介されている。SpaceXについては、IPOで多数の従業員が富を得た事例とあわせて、知識ボックス③で整理している。
B 売りたい社員ばかりではない ―売り渋りが未上場AI株への投資意欲を強める?
OpenAIやAnthropicでは、売却機会があるにもかかわらず、従業員が買い手の需要を満たすほどには売らなかった。 PitchBook記事によれば、OpenAIのテンダーオファーでは買い手需要が103億ドルまで拡大したが、実際の売却額は66億ドルにとどまった。Anthropicでも、投資家が約60億ドル分の株式を買いたいと考えていたにもかかわらず、売却額はその目標に届かなかったとされる。 ここには、通常のスタートアップ社員のイメージとは違う構図がある。 売れる機会がある。
買いたい投資家もいる。
それでも、従業員はすべてを売るわけではない。
従業員自身も、自社株のさらなる値上がりを強く意識しているように見える。 一部を売って生活資金や税金、資産分散に充てる。一方で、残りは持ち続ける。OpenAIやAnthropicのような巨大AI企業では、従業員株式は単なる報酬ではなく、将来のIPO価格や企業価値上昇を期待して保有する資産にもなっている。
この売り渋りは、投資家から見ると、株式取得機会の希少性を意識させる材料にもなり得る。買いたい投資家が多い一方で、従業員が十分には売らない。売りが限られるほど、IPO前の株式を取得する機会は希少になる。従業員自身が値上がりを期待して持ち続けているように見えることも、投資家の関心を高める一因になり得る。
もちろん、従業員が売らない理由は一つではない。将来の企業価値への期待もあれば、売却上限、税務、権利確定条件、個人の資産状況も関係する。それでも、OpenAIやAnthropicの記事から見えるのは、売却機会があるにもかかわらず、従業員側の売りが投資家需要を満たし切らないという構図である。 OpenAIやAnthropicの従業員は、単に現金化の機会を与えられた人たちではない。売ることも、持ち続けることもできる立場にいる。
米国の富の受け皿 ―DAFと寄付文化
OpenAI社員の66億ドル売却は、従業員がIPO前に富を手にしたという話で終わらない。 今回の記事で日本の読者に最も分かりにくいのは、その富が米国では寄付の制度や文化に接続されやすい点かもしれない。 WSJの記事では、OpenAIの一部従業員が、残りの株式をDonor-Advised Fund、いわゆるDAFに入れたことも紹介されている。DAFの詳しい仕組みと具体例は知識ボックス②で整理しているが、ここではまず、なぜ突然大きな株式価値を得た従業員にとってDAFが意味を持つのかを確認しておきたい。
DAFは、従業員にとっては税務上のメリットを持つ制度であり、同時に、寄付者として富を社会に戻すための受け皿でもある。 税務面では、DAFに資産を拠出すると、一定の範囲で所得税上の寄付控除につながり得る。また、値上がりした株式を売却前にDAFへ拠出すれば、売却して税金を払った後の残額ではなく、税引き前の株式価値を慈善目的の資金として移しやすい。つまり、売却していればキャピタルゲイン課税で失われていた部分も含めて、寄付原資に回しやすくなる。
寄付者としてのメリットもある。DAFでは、まず資産を慈善目的の口座に移し、その後、どの慈善団体に、いつ、いくら分配するかについて時間をかけて決めることができる。突然大きな富を得た人にとって、すぐに寄付先を決め切る必要がないことは大きい。
つまりDAFは、税務上の処理、寄付の意思表示、寄付先選びの時間的余裕を同時に与える制度である。
この制度が「寄付」と結びついていること自体が、米国らしい。 米国では、寄付は単なる個人の善意だけではなく、税制によって支えられてきた。慈善寄付控除は、富裕層の寄付を税制上も後押しする仕組みとして発展してきた。つまり米国では、民間の富を公益的な活動へ向けることが、税制の中に組み込まれている。
これは日本の感覚とはかなり違う。日本にも寄付控除や公益法人制度はあるが、米国ほど、個人の富、税務、寄付、社会的評価が一体となって語られることは多くない。米国では、富裕層が大きな資産を得たとき、それをどう寄付し、どのように社会へ戻すのかが、制度的にも文化的にも問われやすい。 したがって、DAFは節税テクニックとしてだけでなく、突然生まれた株式価値を、税務、寄付、資産管理の枠組みに置き直す制度として見る必要がある。
この米国的な感覚をよく表しているのが、Melinda French Gatesの記事である。記事の内容は知識ボックス④で整理しているが、彼女は、SpaceXのIPOや、今後のOpenAI、Anthropicから生まれる新しいテック富裕層に対し、資産の少なくとも半分を寄付することを考えるべきだと呼びかけている。
もちろん、OpenAI社員に寄付義務があるわけではない。DAFに株式を入れた理由を外部から断定することもできない。ただ、米国では、テック企業の成功によって新しい富裕層が生まれると、その富をどう社会に戻すのかという視線が向けられやすい。Melinda French Gatesの記事は、その視線が実際に存在することを示している。
さらに、OpenAIには非営利組織として始まったという出自がある。OpenAIは、単なる営利目的のテック企業として出発したわけではなく、人工知能が人類全体に利益をもたらすようにするという理念を掲げていた。 ここから先は強く言い切るべきではない。
しかし、非営利組織として始まったOpenAIから、従業員個人に数千万ドル規模の富が生まれるとき、その富に対して公益性や社会貢献への視線が向きやすい可能性はある。
OpenAI社員のDAF利用は、単なる節税テクニックとしてだけ読むよりも、米国における富と寄付の距離の近さを示す事例として読んだ方が分かりやすい。
ここに、日本からは見えにくい、米国の寄付文化の厚みがある。
若手金融マンへの示唆――株式報酬は、給与ではなく「金融資産」になっている?
今回のOpenAI社員の66億ドル売却は、単に「AI企業の社員は高給でうらやましい」という話ではない。 若手金融マンが見るべきなのは、未上場企業の株式報酬が、給与の延長ではなく、金融資産として扱われている点かもしれない。
ここで起きているのは、報酬制度の話であると同時に、未上場株式市場の話でもある。 従業員にとって、株式報酬は将来の値上がりを期待する資産である。投資家にとって、従業員の保有株式は、IPO前の有力企業にアクセスするための入口になる。会社にとって、テンダーオファーは、従業員に流動性を与えながら、株主構成を管理する手段になる。
日本では、未上場企業の株式報酬というと、ストックオプションや上場時のキャピタルゲインを思い浮かべやすい。しかし、米国の巨大未上場企業では、上場前から企業価値が数千億ドル規模に達し、その過程で従業員が巨額の株式価値を持つようになっている。さらに、テンダーオファーを通じて、その一部を現金化する機会も生まれている。 従業員は、会社から報酬を受け取るだけの存在ではない。自社株をいつ売るか、どれだけ残すかを考える市場参加者にもなっている。
さらに、今回の記事にはDAFという論点もある。 OpenAIの一部従業員が残りの株式をDAFに入れたという描写は、米国では寄付が税制や富裕層の資産管理と近い場所にあることを示している。
OpenAI社員がIPO前に富を得たというニュースは、AI企業の成長や従業員報酬の話にとどまらない。未上場株式がどのように売買され、誰がそれを買いたがり、その結果として生まれた富がどのように扱われるのかを考える材料でもある。 こうした米国の制度や文化まで含めて見ることで、巨大未上場企業をめぐるニュースの理解は、少し深まるかもしれない。
知識ボックス
① テンダーオファーとは何か――会社が管理するIPO前の売却機会
テンダーオファーとは、未上場企業が一定の条件を定めたうえで、従業員や元従業員、既存株主に保有株式の売却機会を与える仕組みである。
スタートアップの従業員は、給与に加えてストックオプションや株式報酬を受け取ることがある。しかし、会社が未上場のままであれば、その株式は上場株のように市場で自由に売買できるわけではない。会社の評価額が大きく上がっていても、従業員にとっては「紙の上の資産」にとどまりやすい。 そこで、後期スタートアップでは、会社が一定の条件を定めたうえで、従業員や元従業員、既存株主に売却機会を与えることがある。外部投資家が買い手となり、従業員などが保有株式の一部を売却する。これが、テンダーオファーと呼ばれる仕組みである。
重要なのは、未上場企業では、誰が株主になるかを会社が管理したいという点である。
上場企業であれば、株式は市場で広く売買される。一方、未上場企業では、株式が誰に渡るかは、資本政策、情報管理、ガバナンス、将来のIPOに向けた株主構成に関わる。特に、OpenAIやAnthropicのような戦略的重要性の高い企業では、どの投資家に株式を持たせるかは、会社にとって軽い問題ではない。
そのため、従業員が保有株式を自由に誰へでも売却できるわけではない。会社が認めた買い手、価格、売却上限、対象者、時期などの条件のもとで、従業員に一定の流動性を与える。テンダーオファーは、従業員にIPO前の現金化機会を与える仕組みであると同時に、会社が株主構成を管理しながら流動性を提供する仕組みでもある。
② DAFとは何か――3,000万ドルを得た社員は、なぜ寄付口座を使うのか
DAFとは、Donor-Advised Fund(ドナー・アドバイズド・ファンド)の略で、資産をいったん慈善目的の口座に拠出し、寄付先を後から決めることができる仕組みである。 DAFの基本的な流れは、**拠出(Contribute)、運用(Invest)、分配(Grant)**の三段階で理解できる。まず、寄付者は現金や株式などの資産をDAFに拠出する。拠出された資産は、慈善目的の資金として切り出される。次に、その資産はDAF口座内で運用される。最後に、寄付者は、どの慈善団体に、いつ、いくら分配するかをDAFのスポンサー団体に勧告する。
DAFの特徴は、寄付の税務処理と、最終的な寄付先の決定を切り離せる点にある。 たとえば、カリフォルニア州に住むOpenAI社員が、年間100万ドルの通常収入に加えて、テンダーオファーで3,000万ドル分の株式を現金化したとする。さらに、その社員が、まだ保有している値上がり株式2,000万ドル分を売却せずにDAFへ拠出したとする。
この場合、DAFの意味は大きく二つある。 第一に、売却前の値上がり株式をDAFへ拠出すれば、その株式を自分で売却していれば発生したはずのキャピタルゲイン課税を避け、その分も含めた株式価値を慈善目的に回せる。寄付者が株式を売却して税金を払った後に残額を寄付するのではなく、値上がりした株式そのものをDAFへ移すため、税引き前の資産価値を寄付原資にしやすい。
第二に、DAFへの拠出は、一定の範囲で所得税上の寄付控除につながる。長期保有の値上がり株式をDAFへ拠出する場合、控除額は一般にAGIの30%までに制限される。仮に、この社員のAGIを単純化して3,100万ドルと見れば、その年に控除できる上限は約930万ドルとなる。2,000万ドルをDAFへ拠出しても、その全額を同じ年に控除できるわけではなく、上限を超える約1,070万ドルは翌年以降へ繰り越すことになる。繰越期間は通常5年である。
ここで重要なのは、翌年以降も高いAGIが続く人ほど、繰越控除を使い切りやすいという点である。OpenAIのように、高い現金報酬や追加の株式売却機会が見込まれる従業員にとって、DAFは一度きりの寄付口座ではなく、将来の高いAGIに対して繰越控除を使っていくための器にもなり得る。
さらにDAFは、時間のコントロール権を与える。年内にDAFへ株式を拠出すれば、その年の寄付控除の対象になり得る。一方で、最終的にどの慈善団体へ、いつ、いくら分配するかは、その場で決め切る必要がない。寄付者は、まず値上がり株式をDAFへ移し、税務上の処理を行い、その後、数年かけて寄付先を選ぶことができる。
DAFは、単なる寄付口座ではない。突然生まれた株式価値を、税務、寄付、資産管理、時間のコントロールの中に置き直すための米国的な制度である。
③ SpaceXのIPO――NYTが報じた従業員ミリオネアの誕生
NYTの “SpaceX’s I.P.O. Could Turn 4,400 Employees Into Millionaires” は、SpaceXのIPOによって多数の従業員が大きな富を得る可能性を報じている。
同記事によれば、SpaceXのIPOでは、現職・元社員のうち4,400人超がミリオネアになる可能性があるとされていた。さらに、そのうち約400人は1億ドル以上の資産を得る可能性があると報じられていた。 記事では、2011年にSpaceXへ入社したTrevor Hise氏の事例が紹介されている。同氏は10万株超のSpaceX株を保有しており、IPO価格を前提にすると、その価値は少なくとも1,350万ドルに達するとされる。 また、2012年に入社したGavin Petit氏の事例も紹介されている。同氏は当時、8万ドルの給与に加えて、1株13.80ドル相当のSpaceX株を数千株受け取った。その後、会社のボーナスを現金ではなく追加の株式で受け取ることを選び、最終的に5万株超を保有するに至ったという。
④ Melinda French Gatesの記事――テック新富裕層に向けられる寄付への視線
Fortune “Melinda French Gates’ advice to new IPO millionaires: ‘Give half your money away’” は、SpaceX、OpenAI、Anthropicなどから生まれる新しいテック富裕層に対し、寄付を呼びかける記事である。
記事では、SpaceXのIPOによって新たなミリオネアやビリオネアが生まれ、今後OpenAIやAnthropicでも同じような富裕層が生まれる可能性があることを前提に、Melinda French Gatesが新しいテック富裕層に寄付を呼びかけたと紹介されている。
French Gatesは、Fortuneのインタビューで、こうした人々に対し、資産の少なくとも半分を寄付することを今から考えるべきだと述べた。資産が最終的にどれほど大きくなっても、小さくなっても、寄付を考えるべきだという趣旨である。 彼女は、米国でビリオネアになった人々は、米国の教育、医療、インフラ、起業環境の恩恵を受けてきたのであり、その富には責任が伴うという見方も示している。これは、富を完全に個人の才覚や努力だけの成果として見るのではなく、社会的な基盤の上に成立したものとして見る考え方である。 また、French Gatesは、Warren Buffett、Bill GatesとともにGiving Pledgeを立ち上げた人物でもある。Giving Pledgeは、超富裕層に対して、生前または遺言を通じて資産の過半を寄付することを促す取り組みである。
(編集部より) あわせて読むと理解が深まる記事
参照記事
2026年5月10日 The Wall Street Journal
“How a Job at OpenAI Became the Greatest Lottery Ticket of the AI Boom”
2026年4月18日 PitchBook
“Employees at mega-IPO candidates are opting out of tender offers in a ‘champagne problem’”
2025年12月30日 The Wall Street Journal
“OpenAI Is Paying Employees More Than Any Major Tech Startup in History”
2026年6月10日 The New York Times
“SpaceX’s I.P.O. Could Turn 4,400 Employees Into Millionaires”
2026年6月13日 Fortune
“Melinda French Gates’ advice to new IPO millionaires: ‘Give half your money away’’”
Melinda French Gates’ advice to SpaceX, OpenAI IPO millionaires | Fortune
※本稿は、米国の金融コラム・業界記事を素材に、背景となる考え方や論点を整理することを目的とした考察です。本文中で紹介している参照記事には、有料媒体のものも含まれています。 本稿は生成AIを活用して下書き・構成整理を行い、筆者が検証・加筆修正の上で公開しています。
